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No.5 アルツハイマー病の治療を巡る話題

浴風会病院精神科診療部長 須貝 佑一

7.痴呆症を治療する意味

 痴呆症は治らないと言われているのは知的機能の障害部分です。これを痴呆症の中核症状と呼んでいます。いっぽう、知能障害のために生じる当惑や不安、焦燥と興奮といった心理的な反応症状が行動をますます混乱させ、できていたこともできなくなります。痴呆症のために低下した知能や認識の力で今ある周囲の状況を解釈し、生活しようとして行動がとんちんかんになり、混乱をきたします。痴呆症状のうち、周囲の状況に反応して出る精神症状や行動異常を痴呆症の「周辺症状」とも呼んでいます。物盗られの妄想から徘徊、迷子、夜間の不穏状態などなどは知的障害が進んで生じている反応性の症状、つまりは周辺症状といえます。周辺症状を治療すると痴呆症の介護は見違えるほど楽になります。場合によっては知的機能も改善したのではないかと思われるほど痴呆症の全体の姿を変えることすら経験します。痴呆症を治療することの意味はそこにあるといえましょう。


 

 

1.家族の思い
2.痴呆症をめぐる誤解
3.新しい痴呆疾患の発見
4.アミロイドカスケード(滝流れ)仮説
5.痴呆症の治療戦略
6.物忘れと精神症状
7.痴呆症を治療する意味

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