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こころの健康シリーズno.10

摂食障害

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3.過食症のあらわれ

 ときどき猛烈に食べたい衝動が起こり、とことん過食する。その後は大量の水分をとったり指を使ったりして嘔吐する。しかし、それだけでは安心できず大量の下剤を使用する。これが過食症に一般的な症状です。もっとも、ときおりの嘔吐と下剤乱用は拒食症にもすでにみられます。なかには過食だけで、嘔吐をしない人もいますが、これは小数派です。過食がはなはだしいために肥満する人もいますが、過食、自己誘発性嘔吐、下剤乱用の三つ揃いでバランスをとり、正常体重を維持する人から痩せすぎの人までいます。

 過食症が拒食症から独立したものかどうかは大いに疑わしいのです。その大半は、拒食の経験者です。つまり、拒食→ときおりの過食→恒常的過食という経過をとることが多いのです。恒常的に過食がみられるようになると過食症と呼ばれるようになるのです。ごく小数ながら過食が初発症状であることもないではありません。これは私の経験によりますと男子に多く、嘔吐を伴わないのがふつうです。こういう事情ですから、摂食障害には不食期と過食期とがあるとみる方が実情に則しています。「期」という言葉を使いますと、これはいずれ通り抜けていくものであることを示唆しています。〜実際そうなのです〜が、「症」というと何か固定的な響きをもってしまいます。この過食症という言葉が流布してから、拒食の方々には、いつ過食症になるかと戦々恐々とするという副作用が生まれました。

 過食症の年齢層は、拒食症よりは高く、異性関係をもつことができる人が多いといわれます。これは過食症の大半は、拒食症の経過型であることを考えれば当然のことです。

 過食症の場合にも、いろいろな身体的合併症が起こりますが、拒食症の場合のように生命を脅かすことはまずありません。常習的な嘔吐によって胃酸が逆流し、歯を痛めます。そのため、嘔吐の後はうがいを欠かすことはできません。

 過食症の精神状態も拒食症のそれと基本的には変わりません。ただし拒食の場合よりも、抑うつがあらわになる場合が多いといえます。もっとも身体衰弱は減少しますので、社会的活動はなんとか続けられる人も少なくありません。

 

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