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No.3 老年期の抑うつと不安について

国立精神・神経センター国府台病院院長 樋口輝彦

3.「うつ病」の場合には早期治療が大切

 「うつ」の場合は放っておいても、時間が解決してくれることが多いのですが、「うつ病」の場合は治療が必要です。治療法のひとつに休息がありますが、ただ休息をとるだけでは十分な回復は得られません。やはり、専門医に相談して、休養と共に専門的治療を受けることが大切です。治療の基本は、くすりによる治療、休養、環境調整、再発防止にあります。くすりは抗うつ薬と呼ばれるくすりを中心に使います従来の抗うつ薬は副作用が出やすく、使い勝手が悪いものでした。しかし、最近開発されてきた抗うつ薬(SSRIなどがその代表です)は副作用が軽減されており、高齢の方にも安全に服用できるようになってきました。休養については、文字通り心身を休めることですが、その場合のポイントは「やりたい気持ちがあってやることはどうぞおやり下さい」ということです。やりたくないが、義務感でやるということは避けてもらうことです。環境調整はむしろ再発防止と関係が深いのですが、急性期では本人がゆっくり休養できる環境を確保することです。再発防止の方法にはいくつかあり、これらを総合的に用いるわけですが、最近注目されているのは認知療法です。うつ病になると、物事を悲観的に考え、自責的になることが多いのはよく知られていますが、うつ病から回復してもなお、物事を否定的に考えたり、取り越し苦労のしすぎをする人が多く、その方々の再発率が高いのです。そこで、回復した方の物の見方を自分で点検して現実と異なる悲観的見方、考え方を修正することが再発防止に役立つことから、その自己点検のお手伝いをする方法として認知療法が開発されたわけです。

4.老年期の「うつ病」は若い人の「うつ病」とどこが違うのか?

1.誰でも「うつ」になることはある
2.「うつ」と「うつ病」は違う
3.「うつ病」の場合には早期治療が大切
4.老年期の「うつ病」は若い人の「うつ病」とどこが違うのか?
5.老年期のうつ病の症状の特徴
6.うつ病にならないために
7.老年期の不安への対処
8.不安に使う薬の話

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