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No.5 国家公務員のメンタルヘルス
    〜その現状と対策について〜

中部学院大学大学院教授 吉川武彦
イラスト ひらのゆうこ


国家公務員の長欠者とメンタルヘルスの現状

のっけから数字で恐縮だが、下の表を見ていただきたい(表1)。

これはこの10年間のわが国の国家公務員長欠者の変化である。かつては長欠者といえば結核に冒されたものが多かったが、すでにその様相は全く影を潜め今日では「精神・行動の障害」がトップである。表にあるように、1996(平成8)年は数にすれば悪性新生物といくらも違わないが、それでも第2位で長欠者総数7千人のうちの1千人(14%)だったものが、2001(平成13)年には第1位となり6千600人のうちの約2千人(30%)とほぼ倍増した。

06(平成18)年にはそれが6千100人のうちの約3千600人となり過半数を占めるに至っている。これは人数にして96年の3倍、01年の1.5倍である。なお06年の国家公務員約30万人のうちの3千600人なので罹患率は約1.2%、職員数が少ない省庁を除くと、罹患率が最も高いのは社会保険庁で2.6%、経済産業省が1.8%、厚生労働省が1.4%である。社会保険庁及び厚生労働省が高いのは、年金問題等で職員の勤務条件が極めて悪化している時期と重なったためと考えられる。

なお、06年の長欠者を年齢別に見ると39歳以下が53%、40歳以上のものが47%で若い方が多い。年齢別5歳区分で見ても35歳から39歳が最も多く、職員10万人あたりの比率で見ても1千500人に1人の率で最も高い。疾病別ではその80%が気分障害であり神経症性障害が14%、統合失調症は4%ほどである。

国家公務員自殺 01年から5年間の傾向から見えてきたもの

はじめに
04年の新たな指針が目指すもの
国家公務員の長欠者とメンタルヘルスの現状
国家公務員自殺 01年から5年間の傾向から見えてきたもの
人事院がいま進めつつあるメンタルヘルス対策
おわりに

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