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No.5 国家公務員のメンタルヘルス
    〜その現状と対策について〜

中部学院大学大学院教授 吉川武彦
イラスト ひらのゆうこ


人事院がいま進めつつあるメンタルヘルス対策

大きく分けると3×3=9点に纏めることができよう。次項の図1を見てほしい。これは2008年3月の人事院「心の健康づくり指導委員会」の席上に配られたものであるが、この図の最左側に縦の軸で示されているようにどの段階においても「研修」を重視している。これは先に示した06(平成18)年の専門家会議が指摘した研修重視の考えが反映されたものである。図の本体の上部にある「職員」は04年に人事院が発出した通知にあるように、研修や対処すべき対象である職員を「健康なとき」「不健康なとき」「回復したとき」と3分してそれぞれにどのように対処するかを示したものである。

「健康なとき」にあっても“健康診断”が行われるとともにストレス状態にないかどうかの“スクリーニング”を行うことを企画していることや、それを担当するのは健康管理医であること、また「不健康なとき」にはすでに開始している“こころの健康相談室”がこれに当たるが、それらは精神科医や産業医経験者あるいは労働衛生コンサルタントが担当する。さらに「不健康なとき」で病休が多くなったりするときや、「回復したとき」の“職場復帰相談”を受けやすくすることで経過観察や職場復帰のアセスメントを行うが、これを担当するのは先の精神科医や産業医経験者であったり労働衛生コンサルタントとするということである。これらについてはすでに人事院は全国展開を始めており、次々と精神科医を非常勤で採用している。また、EAPを活用するなどして「回復したとき」の対策に協力を依頼する考えである。

この図に網掛けの部分があるのは、現在進行中のものか検討事項として積極的に取り上げようとしているものである。なお図の下に波線で囲っているところは、各省各庁が職場環境の把握や改善に組織的に当たるべきところを指摘している。すでに省庁によってはかなりの充実を見ているところもあるが、多くは充実にはほど遠い状況であり、それだけに人事院としては各省庁を横断的にサポートする体制を創らざるを得ない状況にある。

おわりに

はじめに
04年の新たな指針が目指すもの
国家公務員の長欠者とメンタルヘルスの現状
国家公務員自殺 01年から5年間の傾向から見えてきたもの
人事院がいま進めつつあるメンタルヘルス対策
おわりに

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