独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター
インターネット依存治療研究部(TIAR)
橋本琢麿 前園真毅 三原聡子 中山秀紀 北湯口孝 越野仁美 樋口進
5.SNS使用がコミュニケーション、日常生活に及ぼす問題を架空事例から考える
健康なSNSの使用と病的な使用の間に明確な基準はない。興味のある方は久里浜医療センターのホームページから、インターネットアディクションテストを参照してもらいたい。ここでは日常生活に問題が出た架空事例で紹介する。
<ケース1:ゲームとツイッターの併用で日常生活に影響>
中学2年のA君。中高一貫校合格祝いにPCとipod touchを購入してもらった。学校で上手くいかないストレスもあり始めたオンラインゲーム。元来のめり込む性格であったA君はすぐにランキングの上位になり、ゲーム仲間からも崇拝される神プレイヤーのような存在になった。ランキング上位の自分がツイッターでつぶやくと、何百人ものフォロワーが見てくれる。最近はゲームをしていない時間でもツイッターで情報を発信、ゲーム攻略の動画を見て研究している。努力を怠ればランキング維持も難しい。気がつくと現実世界では学校は不登校がちになり成績も急降下していった。部活もずっと行っていない。成績のことで母親ともめ、ゲームやネット環境を取り上げる話ばかりで嫌になってしまう。自分でもこのままではいけないと思うがツイッターのことが気になり食事中でもiPod touchが手放せない。
<ケース2:ブログのSNS的な要素にのめり込む>
30代のBさんは、芸能人のブログに夢中。お気に入りの男性アイドルグループのブログで、ファン同士の交流も盛んだ。ごく稀にアイドル本人から返信がつくことがあり、Bさんも一度返信をもらった。本人の書いた記事を読むのはもちろん楽しみだが、ファン同士の交流も楽しみの一つ。時折心無いコメントがついてブログのレスが炎上する。真面目なBさんにこれは許せない。気がつくと四六時中ブログの閲覧をしている自分に気がついた。夜間のチェックを続けているので睡眠時間も3?4時間で仕事にも悪影響が出てきている。
<ケース3:家族よりSNSを重視し家族関係が希薄に>
FBにハマっている30代の男性Cさん。旧来の友人ともSNS上で再会。多趣味なCさんがつぶやくとすぐに数十人から「イイね!」がつく。山の写真や料理の腕前も披露しようと写真を投稿したら友達の友達からも高評価。そこでインスタやツイッターも始め多くのフォロワーがついた。最近ではSNSで評価されることが最大の趣味になった。一方妻は不満が募る。以前は育児にも協力的だった夫が、最近は目線を合わせずスマホばかりしている。
4.SNS問題予防のために/まとめ
1.はじめに/SNSとは/代表的なSNSと特徴
2.SNS使用による問題とコミュニケーション問題
3.SNS使用がコミュニケーション、日常生活に及ぼす問題を架空事例から考える
4.SNS問題予防のために/まとめ