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こころの健康シリーズZ 21世紀のメンタルへルス

No.6 SNS使用に伴うコミュニケーション問題

独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター インターネット依存治療研究部(TIAR)
橋本琢麿 前園真毅 三原聡子 中山秀紀 北湯口孝 越野仁美 樋口進


6.SNS問題予防のために

 SNS使用問題についての対策に必要なことを以下にまとめる。

(1)リテラシー教育
 情報リテラシーとは情報を正しく身につけ使いこなす力である。まずはスマホやSNSとはどんなものか、それらを日常的に使用する人々がどんなことをしているのか私達が知ることが大切である。

(2)現実を重視する
 現実の世界に不満がある場合、癒しや孤独の解消、自己効力感を得るためにSNSやネット使用を重視する傾向がある。そこでネット以外の現実での趣味や自己実現、人生の目標、生身のコミュニケーション等を大事にすることが重要である。当院が関わるネット依存の青少年が参加する文科省委託事業のセルフディスカバリーキャンプも現実世界を大切にした関わりを重視している。

(3)話し合うこと自体が重要、ルールはその次
 親がルールを決め、スマホ使用時間を管理しても上手くいかないという相談をよく耳にする。押し付けのルールは意味がなく、子供達が自分で考え話し合って決めたルールの方が良い。まず大人は子供達がスマホやSNSで何をするのか、何がしたいのか彼らの意見も聞いてじっくり話し合うこと。学校の場合は先生と生徒間で話し合う場、生徒達自身でルールを考える場があると良い。

(4)デトックス
 スマホやSNSから、離れる時間を持つこと。目を休め、心身を休めながら自分自身の健康や家族などリアルな生活を見つめ直してみる。


7.まとめ

 スマホやSNSを使用する全員がネット依存やコミュニケーション問題を抱える訳ではない。急速に発達し社会に浸透したスマホやSNS、これらにどう向き合い生きていくか、どこでネットと現実の折り合いをつけるのかを考え、世代を超え話し合っていく事が必要である。

参考文献
1)総務省「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」平成27年
2)樋口進:ネット依存症から子どもを救う本.法研.2014
3)樋口進:ネット依存症.PHP新書,東京,2013.
4)樋口進:ネット依存症のことがよくわかる本.講談社,東京,2013
5)久里浜医療センターウェブサイト「ネット依存のスクリーニングテスト」
  http://www.kurihama-med.jp/tiar/tiar_07.html
6)「青少年教育施設を活用したネット依存対策研究事業」報告書
  http://www.niye.go.jp/kanri/upload/editor/94/File/55233a204e2e0.pdf

1.はじめに/SNSとは/代表的なSNSと特徴
2.SNS使用による問題とコミュニケーション問題
3.SNS使用がコミュニケーション、日常生活に及ぼす問題を架空事例から考える
4.SNS問題予防のために/まとめ

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