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こころの健康シリーズ[ 国際化の進展とメンタルヘルス

No.11 「外国人児童生徒」のメンタルヘルス〜支援の現場から〜

愛知教育大学日本語教育支援センター 菅原雅枝


外国人児童生徒への支援に関わる人々

 外国人児童生徒の在籍状況は集住と散在の二極化が進んでいるといわれており、外国人児童生徒への支援体制、特に公的な予算を使っての支援には、地域によって大きな格差が生じている。

 外国人児童生徒支援の場は大きく学校と地域に分けることができる。学校では、教員、教育委員会等から派遣される日本語支援者や母語支援者が支援にあたっている。教員については、学級担任として指導に当たる教員のほかに、日本語指導のための教室が設置され、担当者が配置されていることもある。2017年には日本語指導のための教員の基礎定数が新設された(児童生徒18人に1人)。しかし、日本語指導を担当するための特別の免許や資格(例:特別支援学校教諭免許、司書教諭資格)はなく、日本語教育や外国人児童生徒教育に関する専門性を持つ担当教員は少ない。また、学校長がその年の学校運営を勘案して担当を指名するため担当者の交代が頻繁で、支援の継続性、一貫性という点からの課題も指摘されている。教員以外の支援者に期待される職務内容や必要とされる資格は自治体によってかなり異なっている。教育委員会等が研修や情報交換の機会を設け、組織的に動いているところもあれば、登録制で支援の仕方は支援者任せといったところもある。しかし概して支援者の意識は高く熱心で、自ら学びの場を求めている人が多い。来日して間もない子どもたちにとって最も心を許せる存在は日本語担当教員や支援者であるといってよいであろう。

 学校外での支援は地域のNPOや支援団体などが担っている。その地域に根付いた活動となっており、学校での支援に比べ子どもたちを長期にわたって見守ることができる。また、支援を受けていた子どもが成長し、支援者となって活動に参加するといったことも少なくない。学校外の支援は、子どもが選択して通う場であり、かれらの心のよりどころともなっている。

 メンタルヘルスという点から考えると、外国人児童生徒の心の内を理解しやすい立場にいるのは、学校内外で子どもたちの支援にあたるこれらの人々である。子どもやその保護者は様々な問題をかれらに打ち明ける。中には深刻なものもあり、「相談されても答えられない」「自分には受け止められない」と悩む支援者もいる。

 

外国人児童生徒とことば

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外国人児童生徒への支援に関わる人々
外国人児童生徒とことば
外国人児童生徒と文化/最後に

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