ご挨拶日本精神衛生会とはご入会のご案内資料室本会の主な刊行物リンク集行事予定

No.8 製造業における
  メンタルヘルス対策

株式会社日立製作所 労政人事部神宮純緒
イラスト 橋本直美


人財活性化に関する当社の取組み

基本的な考え方
当社では前述のような課題を克服しつつ多様な個性を尊重し、ひとりひとりの違いを活かすことができる、働きやすい環境作りをめざしている。その一環として従業員の満足度向上のため仕事と個人の生活を両立させ、働き方そのものを見直すことを2008〜2009年度の重点施策と位置づけ、積極的に推進している。具体的には長時間労働の縮減、メンタルヘルスケア、職場コミュニケーション力向上などである。いずれの施策もマネジメントや働き方を原点に立ち返って見直しつつ、個人と組織の両面からアプローチすることで従業員の心身の健康増進を図ることを目標としている。

ワークライフバランスの実現
(1)長時間労働の縮減
長時間労働の抑制を狙いとして、月60時間超の残業代の割増賃金率を25%以上から50%以上に引き上げる改正労働基準法が2008年12月5日に成立、2010年4月から施行される。昨今の労災認定事例を見ても月100時間以上の時間外労働があれば、脳、心臓疾患、精神疾患ともに労災認定の可能性が極めて高くなる傾向にあり、最優先で取組むべき課題である。これに先立ち、当社においても残業時間が月40時間を超えない働き方をめざす取組みに着手した。本施策の趣旨を各職場に周知徹底し、最低月1回のNO残業デーを設定、労使共同での職場巡視や、各職場における業務再配分や平準化など業務改善に関する話し合いを展開することにより、1)従業員の心身の健康を守る、2)それぞれの事業部門におけるこれまでの働き方を見直し、業務効率・生産性の向上を図る契機とする、3)ワークライフバランスの観点から、従業員ひとりひとりが創出した時間を有意義に活用できるように促す、ことを目標とした。その結果、2008年4月から11月までの8ヶ月間で長時間残業を行う従業員は前年同期比で約6割減少し、仕事上で大きな問題が発生したとの報告もない。問題意識を持ち、併せて業務の仕組みや段取りも変えていくことでより効率的な業務の遂行が可能になるものと評価している。

(2)厚生労働省モデル事業への参画
厚生労働省の「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」を踏まえ、具体的な取組みである「仕事と生活の調和推進プロジェクト」へ参画している。当社を含む日本国内企業10社における取組み状況や成果について事業主はじめ国民全体に広くPRすることを通じ、「仕事と生活の調和」実現に向けた社会的気運の醸成をめざすものである。当社トップの宣言とともに、重点実施事項である1)メリハリのある働き方の推進、2)心身の健康増進施策、3)職場コミュニケーション活性化支援の3項目を社内外へ発信し、推進を鼓舞している。

メンタルヘルスケア
メンタルヘルスケアを以前にも増して充実させることは当社でも喫緊の課題である。「働き方」の見直しと並行して産業医を含めた産業保健体制を強化し、従来の疾病休業者対策から予防支援施策への転換を図ることに注力している。また当社オリジナルのストレス対処教育や各種健康増進施策等、総合的な対策を講じることで物理的な安全管理・健康管理のみならず、個人が心身ともに健康でやりがいを持って仕事に取り組める環境作りも模索している。施策の推進に当たっては、経営幹部の強い意思が不可欠であり、経営幹部と直結して活動を展開している。

(1)健康増進施策
従業員の心身の健康増進を図るため、日立グループ260社47万人の加入者を擁する日立健康保険組合との連携の下、総合的な健康増進施策を展開している。加入者である当社従業員・OB並びにその家族のQOL向上、従業員のワークライフバランスに資すること等を目的とした生活習慣病・精神疾患の予防に着目し、外部の専門機関やITを活用した健康増進施策を展開することで一次予防(健康状態の維持)を実現し発症リスク抑制、重症化や生活機能低下の進行を未然に防ぐ。具体的には、遊び心を加味したウォーキングプログラムやダイエットプログラム、心身の健康に関して家族が利用できる相談窓口の設置等、家族や職場の仲間と一緒に楽しく取り組める工夫を凝らした施策となっている。

(2)ストレス・コーピング研修
また、セルフケアの観点からストレス耐性を強化する研修も実施している。活き活きと仕事をするために、これまでの自身のストレス対処法を見直し、新たな知識やリラクセーション法を体得することでストレスに耐える力を身につける研修である。これは、一般的にストレス耐性の低下が指摘される若手層から中堅層を受講対象として、2008年度〜2010年度の3年間で当社従業員の約半数である2万人の受講を計画している。

(3)産業保健体制の拡充
さらに従業員の心身の健康管理・各種健康増進施策を適切に遂行する上で、重要な役割を担う産業医及び産業保健スタッフの体制強化・拡充と環境整備は、最大限の力を注ぎ積極的に取組むべき施策であると認識している。長時間労働者に対する医師の面接指導が義務化されるなど、産業医を取り巻く環境は大きく様変わりし、多くの企業で産業医や産業保健スタッフの不足感が蔓延していると感じている。当社においても同様の状況ではあるが、信念をもって従来以上に人財確保を進めている。

職場コミュニケーション力向上研修
「聴く(アクティブ・リスニング)」「伝える(アサーション)」のトレーニングをベースとした研修の実施により、「聴く」大切さ並びにコミュニケーションの重要性を認識させるとともに、自身と相手を大切にする「相互尊重」の理解と態度を習得させ、コミュニケーションのスキル向上を図っている。本研修では、新任の管理職を中心に管理職層の3分の1に当たる約4,000名の受講をめざしており、2008年4月からスタートしている。先行実施した研修での受講者アンケートの結果では、9割以上が「有益だった」と回答しており、今後の展開へ向け良好な感触が得られたところである。

まとめと今後の課題

はじめに
なぜ人財活性化施策が必要か
人財活性化に関する当社の取組み
まとめと今後の課題

ご挨拶 | 日本精神衛生会とは | ご入会の案内 | 資料室 | 本会の主な刊行物 | リンク集 | 行事予定