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NPO法人 DDAC(発達障害をもつ大人の会)代表 広野ゆい 1.はじめに「片づけられない女たち」の出版をきっかけに、全国でADHDの自助活動が始まったのは四半世紀前の2000年ごろのことである。それ以前の1990年代に入ってドナ・ウィリアムズの「自閉症だったわたしへ」が出版され、ASD者からの発信も増えてきていたこともあり、発達障害という言葉がメジャーになる前から、成人期の発達障害当事者の自助活動は全国規模でそれなりに盛り上がっていた。しかし当時はまだ、発達障害といえば子どもの疾患という認識であり、成人期の発達障害の診断を積極的にしている病院は数えるほどしかなく、運よく見つけたとしても初診が数年待ちであるとか、10年待ちという話を聞くこともあるような状況だった。そのため、大人は発達障害の診断を受ける前に自助グループにたどり着くほうが早かった。 その頃、ちょうどISDNやADSL回線の普及で一般家庭でも常時接続が可能になっていたこともあり、ネット上での情報交換が発展してグループになるというような流れができていた。ひきこもり主婦だった私は、それこそ昼夜問わずネット上で情報を集め、仲間とやりとりをするようになった。掲示板の常連メンバーになり、ネットだけでは物足りなくなるとオフ会に参加し、そこからさらに北海道、東京、名古屋と、全国のグループに参加し、2002年に自らグループを立ち上げた。当時は重複診断されないというルールがあり、発達障害のグループもADHDのグループとASD(アスペルガー)のグループに分かれていたが、概ねどのグループでも診断の有無よりも特性の自覚があるかどうかが重視されていた。そしてその流れは今も続いており、25年目となる私のグループでも、まず自己紹介で「自己診断名」を発表するところからはじまる。
2. セルフヘルプグループ(自助グループ)について一般的に「自助グループ」といえば、アルコールや薬物などの依存症のグループの活動が知られている。日本ではあまり知られていないが、ヨーロッパや北米など、海外ではセルフヘルプグループの支援が制度化されている国も多い。その場合の「セルフヘルプグループ」には、身体障害や精神疾患などの障害者団体、難病などの患者団体、親や支援者が主体となってつくる支援団体なども含まれることが多く、自助グループというよりも、関わる人を含めた当事者組織というイメージに近い。 日本でも障害者団体や患者団体など、様々な団体やグループが活動しており、発達障害も1960年代には自閉症児の親や支援者が当事者団体を立ち上げた。このような当事者団体では、自助活動というよりも施策提言など、アドボカシーや環境への働きかけを目的とした運動が活動のメインであり、議員立法で制定された発達障害者支援法はまさにその成果である。 それとは別に、成人の発達障害の自助活動では、病気や障害などの生きづらさや社会生活の困難を抱える本人たちが自主的に集まり、情報や気持ちや考え方の「わかちあい」を目的としたコアなセルフヘルプグループの活動がメインである。最終的な目指す世界は同じかもしれないが、成り立ちや性質が異なるということは、特に理解して頂きたいポイントの一つである。 セルフヘルプグループでの同じような生きづらさをもつ仲間との関わりは、それを抱えて生きていかなければならないような障害や難病などの本人には特に有効である。 適切や治療や支援によって病状や困難が一旦落ち着いたとしても、治らない病気や障害とともに新たな生き方、新たなアイデンティティを構築していくことは容易ではない。そのようなときに同じような境遇にある人、先にそれを体験している仲間との関わりは、本人にとってプラスになることが多く、またその後の人生を生きていくための原動力となり得る。 しかし、病気や障害の本人が主体的に活動するセルフヘルプグループは、基本的にボランティアで運営されており、主催者の病状や体調、仕事や家庭などの状況に左右されるために安定的な運営が難しい。また、「対等性」が重視される場であるため、世話役と参加者が対等な関係であるがゆえに、意見の相違が起きてしまうこともある。 セルフヘルプグループは、グループ(組織)よりも自分自身を大事にしていい場である。そのため、グループを続けることが自分にとって負担が大きいと思えば休んでもいいし、やめてもいい。だからこそ続けられる反面、その原則が活動の継続を難しくする要因の一つとなっている。
3. 発達障害のセルフヘルプグループ発達障害のグループでは、そもそもコミュニケーションが難しい、人間関係が築きにくいといった特性に加え、体調の管理や自分自身の生活もままならず、グループの管理・運営までは難しいといった人たちが集まるため、他の疾患や障害よりも活動の継続や組織化のハードルは高い。それでも当会を含め10年、20年と活動を続けるグループも存在しており、安定的な活動は不可能ではない。 発達障害のグループの組織化は、一つのグループが大きくなるというより、その地域で増えて、緩くつながっていくというイメージである。住んでいる地域にいくつかある、という環境になるとグループ同士もそれぞれのカラーを出しながら、フォローし合い、無理なく続けていくことができる。参加するほうも自分に合うグループを選べたほうが良く、自分もやってみようかな、という人も出てくる。そしてさらに地域全体が活性化していく。 地域福祉に寄与する活動という観点からすれば、長く続けられることの意義は大きい。しかし、実態としてはグループを大きくすることや続けることにこだわらず、自分たちのペースで無理のない範囲でやっているうちに、気づいたら随分長く続いている、ということが多い。地道に続けていくことで、それぞれの活動地域で自然に他の様々なボランティアグループや市民活動センターやボランティアセンターなどの中間支援組織、福祉や医療の支援機関ともつながりが生まれ、全方向にネットワークが広がっていく。その結果として、グループの主宰者、場所や名前が変化したとしても、緩く長く活動は続いていくのである。
4.セルフヘルプ支援センターと「関西ほっとサロン」の立ち上げ 1.はじめに/2. セルフヘルプグループ(自助グループ)について/3. 発達障害のセルフヘルプグループ |
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