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学習院大学 学生センター 学生相談室 中野良吾 イラスト すずきはなこ 3.予備校生へのサポート予備校生は勉強をきちんとしなければいけない、全てのエネルギーを受験のために使うべきであるなどと考えてしまう傾向があり、いわゆる「固まっている」(完璧主義、強迫的)状態になっていることが多い。「受験生だから…」という思いが強いために、勉強以外のことにはすべきではない(実際にそのように行動しているかどうかは別として)と心理的に追い詰められた状態で、とても視野が狭くなっている。対応としては、疲れた時には気分転換をする、眠くてしかたない時には寝るというようにあたりまえの対処ができるように「ほぐす」(臨機応変、柔軟性)ことが目標となる。
実践的には、まず、基本的生活リズムを保つことが重要になる。予備校生はこれまで計画を立てて勉強するように指導されてきているが、計画を立ててもなかなか続かず何度も計画をたて直すという「計画倒れ」の経験をしていることが多い。筆者は現状を分析して生活リズムを調整・確立するという方法を予備校生にすすめている。「計画表」に対して「実行表」と呼んでいる。一週間の生活を表3のように書いてみると、自分の生活リズムが視覚化されて客観的に把握しやすくなる。そして工夫や改善できそうなことを自分で考えるのである。その際に休養や気分転換の取り方が重要であり、「計画的に」、「早めに」、 「短時間で」取るようにすることがポイントである。
予備校生へのサポートとして、保護者の役割はとても重要である。予備校生本人は、勉強をして、実力を考慮して、志望大学を決めて受験をする、大学受験においては「主役」である。予備校の役割は、学習指導、受験情報の提供などの「技術指導」である。そして、保護者の役割は、予備校生の健康管理、生活習慣の維持など基本的な生活面を支える、いわば「主役」を盛り立てる「名脇役」であろう。保護者には、予備校生と同じように模試の結果を見て一喜一憂するのではなく、できれば冷静で客観的な視点をもって、人生の先輩として様々な知恵を予備校生に与えるような存在であってほしい。予備校生の将来の「自立」のためにも、「世話を焼く、先取り、禁止」というスタンスから「見守る、待つ、任せる、(泳がせる)」というスタンスへ移行することが前提となる。そして、予備校生の様子をみていて「おや?何か変だな」、「何かいつもと違う」というサインに気づいたら、予備校生を少し「大人扱い」して率直に向き合うことがポイントであろう。 【文献】
1.予備校生のおかれている状況 |
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