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安田女子大学文学部人間科学教授 春日キスヨ 4.おわりにところで、2000年から実施された公的介護保険制度はこのように変化してきた介護をめぐる家族の世代間関係をどの方向に推し進めていくのでしょうか。もともと介護保険制度自体が人口学的観点から家族介護の限界を認識し、介護の社会化を推し進めるための制度として発足したものです。だとすると、この制度が成熟していくことは子世代の親世代に対する関わり方として、子世代が実質的な介護の担い手として介護に関わっていくというよりも、精神的な支え手、情報提供者、外部機関とのつなぎ手などの役割を強める方向への変化を促していくことになるでしょう。 しかし、子世代との関係がこのように変容していったとき、介護場面でもっとも重い苦悩を背負ったまま生き続けるしかない部分を持つのがひとり暮らしの高齢者、高齢の夫婦間介護者、とりわけ老いた妻が夫を介護しているケースとなってきます。21世紀初頭の福祉の課題は一人暮らし(とりわけ痴呆症の)や虚弱化した高齢の夫婦間介護者にとっての「人間らしい暮らし」をどのようにすれば制度的に保障出来るかが最大の課題であるといってよいでしょう。 1.変わる家族の世代間関係 |
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