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放送大学客員教授 竹中星郎 2.家族へのサポート:ヘルパーの役割1)生活のすべてを肯定する
また嫁姑関係について、双方から悪口や精神的な苦痛を訴えられることがあります。そのような場合に、「お年寄りに優しくして」とか、「若い人の気持ちもわかってあげて」といった関係調整は不適切です。かえってそのために新たな問題が生じてしまうこともあります。仲が悪くてもいっしょに暮らしていることの重みを受け止める必要があります。 悪口や苦痛を話されるようになったのは、彼らから信頼された証しですが、必要なのは関係調整ではなく、それぞれの苦痛の受け皿の役割です。人間関係を審判したり調整をすることではありません。彼らはそれを求めてはいないのです。 2)家族の生活をささえる 寝たきりの姑を自宅で介護している女性が、特別養護老人ホームのボランティア活動のために週2日のホームヘルパーを申請したの対して、家と同じことをする人のためにヘルパーは必要ないのではという意見がありました。しかし、彼女は家以外に自分の場をもちたいと、自分にもできる特養をボランティア活動として選んだのです。そこではさまざまな老人に接し、ボランティア仲間や特養のスタッフとも交流できます。こうした活動が家で介護を続けていく原動力になっているのです。 家族は介護と仕事を両立させることに苦慮し、好きなテニスやお茶の稽古に行くことがむずかしくなります。いっしょに暮らしているだけで大変なことなので、それだけに家族は自分の時間や世界をもつことが必要です。デイサービスの利用は家族にとって介護から自由になる時間が保証されるので貴重です。 家族にとって、ヘルパーとは自分の苦労を共有してくれるサポーターとしておおきな存在です。ヘルパーが入っている時間だけの問題ではないのです。 3)“がんばりましょう”は禁句 家族にとっては介護は24時間の、ゴールが設定できない営みです。家族はデイサービスを利用したり、ヘルパーのいる時間は介護行為から解放されますが、精神的に自由になるわけではありません。万一の事態が生じたらどうしようと悩み、家から離れていても、なにかあったのではないかと気にしたりします。 このような家族に必要なのは“頑張らないで”という助言です。“手を抜く”ゆとりをもてるかどうか、それが今の生活を続けていく秘訣です。ところが家族は十分に頑張ってきたのに、頑張らないことが不安なのです。その呪縛から解放する必要があります。ホームヘルプとは要介護者だけでなく、家族へのサポートも求められます。 4)訓練やリハビリを生活の場に持ち込まない
これらを生活の場に持ち込むと、家族はふだんの介護のうえに治療者の役割を新たに背負い込むことになります。また高齢者にとって家がくつろぎの場でなくなります。訓練やリハビリテーションはデイサービスなど家以外の場ですることです。 1.介護とは生活へのサポート |
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