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No.5 子育てとメンタルヘルス

華頂短期大学 斧出節子


母親の育児不安

 このように育児ネットワークが貧弱な日本で、育児不安という現象が1970年代から生じてきました。 育児不安ということばを初めて聞く人はほとんどいないほど、現在では普通に使われる言葉になっています。 雇用者化が進み、仕事を持たない専業主婦が増え、「男は仕事、女は家事育児」という性別役割分業タイプの家族が広く行き渡るとともに、育児ノイローゼだとか、育児不安というような減少が取りあげられるようになったのです。 育児不安はまさに日本社会のしくみの変化とともに現れてきました。

 そこで、このような問題に対処するために、どのような母親に育児不安が生じるのかという研究が、80年代から盛んに行われるようになりました。 その結果わかってきたことは、「夫との関係」「育児援助ネットワーク」「母親が母親役割以外のものを持つこと」などが、育児不安に関連しているということでした。 つまり、夫は家事育児を手伝ってくれない、親族や友人の援助ネットワークも得られない、そして、母親役割以外の自分の生活を持たないといった、家庭のなかで孤軍奮闘する母親に育児不安が高いという結果が見られました。

 ところで、先ほど紹介したアジアの調査で興味深かったことは、育児不安というものが日本以外の社会ではあまり社会問題化していない印象を受けたことです。 これはなぜなのでしょうか。 それは、性別役割分業が弱く、母親は父親と協同で子育てを行っていたり、多くの育児援助ネットワークを持っていたり、また、仕事という生産労働の役割を担っている人が多いという、日本とは逆の状況にある母親が多いことと関係しているものと思われます。

子どもと離れることの大切さ

子育てのいま・むかし
アジアからみた日本の育児援助ネットワーク
母親の育児不安
子どもと離れることの大切さ
子育てをする人のメンタルヘルスのために

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