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慶應義塾大学保健管理センター 大野 裕 セルフケアと人間関係:自分の中に閉じこもらないまず、悩みがある場合であるが、そのようなときは往々にして自分の中に閉じこもりがちになりやすい。そうしたときに、一歩踏み出して他の人に相談できるかがストレス・マネジメントでは重要になる。 もともと、ストレスを感じやすい性格としては、几帳面でまじめすぎる傾向や、一人で頑張りすぎる傾向が挙げられる。こうした性格傾向自体は決して悪いものではなく、日常の業務を適切に遂行するためには大切なものでさえある。しかし、それが行きすぎるとつらくなってしまう。あまりまじめで几帳面すぎると、自分のできてない部分に目が向きすぎてしまうし、一人で頑張りすぎていると、必要な手助けがえられなくなってしまう。しかも、人間関係では、自分が引きがちになると、相手も引きがちになる。そうすると、今まで以上に他の人との距離が広がって、寂しい気持ちが強くなるし、現実的な手助けもえられなくなる。こうして、ますますストレスを強く感じるようになる。
そうした人は、一人で工夫をして頑張ってみるがうまくいかないで悩んでいる。そのようなときに、上司や同僚に相談しようと思うが、忙しそうにしているのを見ると、声をかけることができない。自分が小さくつまらないことで悩んでいるように思えて、そのようなことで仕事を中断するのは申し訳ないと考え、声をかけることができなくなる。こんな簡単なこともわからないのかと、あきれられてしまうのではないかとも思い、ますます声をかけられなくなる。 このようなときには、自分の思いこみから少し離れて、現実を良くするためにどうするのがいいかを考えるのが良い。「迷惑をかけるのではないか」というのも、「あきれられるのではないか」というのも、自分の思いこみでしかない。たしかに、同僚も、忙しいときに声をかけられると困るかもしれない。しかし、一緒に働いている人が悩んで声をかけてくれば、すぐにでも助けたいと考えるかもしれない。仕事がうまく処理できなくてたまってしまい、その後始末をしなくてはならなくなるよりは、早くに相談をしてもらった方が良いと考える可能性もある。 気弱になっているときには、そうしたいろいろな可能性を自分から切り捨ててあきらめてしまっていることが多い。しかし、あきらめからは何も生まれてこない。そうしたときに、自分の思いこみからちょっと距離を置いて、思い切って信頼できるまわりの人に相談してみるなど、実際に行動を起こしてみると、新しい道が開けることが少なくない。 はじめに |
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