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中部学院大学大学院教授 吉川武彦 1.いま、子どもたちの問題がかしましい登校拒否や不登校が問題どころかマスコミをにぎわすのは親殺しや未成年の殺人事件でもある。だがこのようにマスコミを騒がせるものに目を向けるだけでは子どもたちの問題は見えてこない。深く静かに潜行しているのがいっこうに減らないいじめでありまた鰻登りに増えている引きこもりであろう。それに数は決して多くないが子どもの自殺である。 また学校ぐるみの問題とすれば学級崩壊、はては学校崩壊とまで言われる問題が確実に広がっているが、こうした調査はしにくいし、しにくいばかりか調査をしても正当な数値が上がってくるともいえない微妙な問題である。なぜならばこうした学校問題が自校にあると報告すれば校長や教頭の恥になるし、管理者としての力量を問われるからでもある。それはつい先頃まで「登校拒否はわが校には一人もいない」と豪語した校長がいたことからもわかろう。 これに代わっていま密かに学校で語られているのが「モンスターペアレント」であり「学校クレーマー」であるが、これもまたなかなか実情が明らかにならない。実情が明らかにならないどころかその「実情」を背景にした「教員のメンタルヘルス」状況の急速な低下が「実数」として挙げられ、あたかも学校メンタルヘルスは教員のメンタルヘルス問題であるかのごとく論議されつつある。もちろんそれも学校メンタルヘルスを考えるひとつの切り口である。しかしながら、ここでは可能な限りこうした可視化しうる“現象”にとらわれず、現象の背景に何があるかを見極めて論じたいと思う。 2.「若者たちの自己主張を抑えてきた私たちの社会」という考えから 1.いま、子どもたちの問題がかしましい |
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