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親を頼りにし、一人でいられない思春期の子供たち

東京都教育相談センター 今村泰洋

イラスト フジヒロ ミト


 1.はじめに

私が教育相談の世界に入ったのは、かれこれ30年以上前のことになる。以来、教育相談一筋に仕事をさせてもらってきたが、この30年の間に社会は大きく変わり、子供たちの遊びも生活も昔とは随分違った様相を示している。それ故、自分の頃とは違うと思い、思春期の我が子が何を考えているのか、この先どうしようとしているのか分からず戸惑う親御さんが多い。時代は変わっても人としての根本は一緒と考えれば、自分が当時どんなことを考え、悩み、どうしたかったのかを思い起こすことで理解し関わることもできるのだが、最近相談に来る親御さんに会っていると、親御さん自身が自分の思春期がどんなものであったのか、きちんと捉えていない人が多い気がする。それだけ振り返る余裕もなく、ある意味必死に駆け抜けてきた人たちなのだろうとも思う。

子供たちについて言えば、悩んではいるが何も考えていない、あるいは考えないようにしていると思えることがある。確かに言葉を聞けば、将来への不安にさいなまれている。しかし、自分の未来を自分の力で切り開いていこうとしているようには思えない。思春期は子供から大人になるために悩み苦しむ嵐の時代と考えていたが、最近の子供たちを見ていると、子供のままでいたいと思っているのか、と思えてしまうことがある。

少し前になるが、東京都教育相談センターでは、都内の中学生・高校生を対象に意識調査をしたことがある。それらの結果も紹介しながら、最近の思春期の子供たちについて思うところを記してみようと思う。

 

 

2.「思春期の心理と行動に関する意識調査」

1.はじめに
2.「思春期の心理と行動に関する意識調査」
3.家族を頼りにする思春期の子供たち
4.一人でいられない子供たち

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