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太刀川 弘和 Hirokazu Tachikawa 1.はじめに2019年12月に中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症(COVID-19)は、2020年に瞬く間に感染拡大し、世界保健機関(WHO)は2020年3月11日にパンデミック宣言を発出した。日本では同年1月に感染者が初めて確認され、2月のダイヤモンド・プリンセス号の感染拡大事故後、徐々に報告が増加、4月7日に第1回緊急事態宣言が発出された。その後何度も感染拡大を繰り返し、2023年5月に感染症分類5類に移行するまでの約3年間、世界では累計6億7千万人、日本では3,380万人が感染し、7万4,694人が死亡した1)。全ての国民は感染を恐れ、感染対策により大きな生活上の規制を強いられた。この歴史的にも未曽有のコロナ感染症パンデミック(コロナ禍)は、感染症の罹患による身体的健康問題のみならず、感染症災害として幅広いメンタルヘルス問題を世界の人々にもたらした。その影響は、2025年のポストコロナ社会に根深い爪痕を残している。 筆者はこれまで、コロナ禍でのメンタルヘルスに関わる精神支援活動や研究活動全般に関わってきた。そこで本稿では、メンタルヘルスの観点から、コロナ禍がもたらしたものとポストコロナの社会的課題について総括しておきたい。なお、本稿は、筆者自身の経験からなる見解に多分に個人的バイアスを含むことを、あらかじめご了承いただきたい。
1.はじめに |
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