ご挨拶日本精神衛生会とはご入会のご案内資料室本会の主な刊行物リンク集行事予定

No.10 お年寄りに歌を!
−孤立を防ぐ−

京都大学大学院教育学研究科教授 山中康裕

2.カイロスを共有する時間

 筆者は、ここ数年以上にわたって、決まったある曜日に、京都府下のある病院の老人デイケアと、高齢者病棟に出向いて、彼らとある仕方で時間をともにすることを週課としてきました。そのある仕方とは、このごあろ高齢者施設や病棟においてブームにすらなっている音楽療法とか歌唱療法、連句療法とかいった、何々療法という言い方を私は好まないので、しいて言えば、「歌とイメージ連句の集(つど)い」ということになりましょうか。いや、そんな名前などが問題なのではなく、ここで強調したいことは、数年前、これを見てある看護師長さんが言われた、「先生、これだけの人数の痴呆老人の方たちを集めて、1時間もの長い間、彼らがじっと座って一緒に効いていられるって、凄いことだわ」の言葉が励みとなっていることなのです。つまり、彼らと「カイロス」を共にすることが可能なことがある、ということなのです。無論、彼らを椅子に釘付けにしておくとか、おかねばならぬとかいう意味なのではなく、立つも座るも、歩き回るも、聞くも聞かないも、歌うも歌わないも、いずれも自由なのです。それでいて、みんなで、「ある時」を共有するのです。

3.そもそも歌を取り入れることとなったきっかけ

1.高齢者において残されている能力
2.カイロスを共有する時間
3.そもそも歌を取り入れることとなったきっかけ
4.イメージ連句について
5.ある日のイメージ連句
6.歌の連なり

ご挨拶 | 日本精神衛生会とは | ご入会の案内 | 資料室 | 本会の主な刊行物 | リンク集 | 行事予定