すてっぷ産業医事務所所長 長井聡里
イラスト 堀中 文子
6.終わりに
働く女性のメンタルヘルスの特徴を、職場における健康管理の立場から述べてきました。職場のメンタルヘルス問題の多くは、その時代の社会を反映したものでもあります。自殺者の多い男性に比べ、女性が少ない理由はさまざまに考えられますが、決して女性が生きることに適当でお気楽なのだと言うわけにはいきません。でも少し女性の視点で社会のあり方を捉え直すことで、もしかするとなにか社会を明るくする方策が検討でき、新しい時代へと男性の働き方、生きざまを向けていくこともできるようになるかもしれません。ピンチはチャンスといわれるように、「男性並みに働けますか」という視点から、ぜひとも「女性並みに暮らせますか」という視点でもって、メンタルヘルス対策についても検討してもらえるとよいかもしれません。それで時代のスピードが多少後退するとしてもよいのではないでしょうか。人ひとりが生きている間に、人類の夢をすべてかなえる必要などどこにもないわけですから、欲張らずに、今を楽しめる歩みへと緩めることを、働く女性の女性らしさから感じてもらえればと思います。
1.はじめに
2.女性にとって働きやすい職場とは
3.女性らしさのメンタル不調
4.働く女性のストレスあれこれ
5.保護される立場から多様性における「差の価値の創出」へ
6.終わりに