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No.9 高齢者のこころの問題と暮らし −家族の悩みについての相談(医療・支援など)−

元 都立中部総合性新保険福祉センター 長尾佳子
高齢者精神医療相談担当 精神科医師

3.福祉サービスの活用

 介護保険制度が発足して3年が経過しようとしています。福祉制度の現状には、なお不備な状況も多々ありますが、介護保険によるサービスの利用が、ようやく社会や地域に根付きかけています。介護の社会化といわれるように、親族や施設に委ねられていた「介護」という機能を、広く社会全体で担おうとするもので、そのためのサービスが、所定の手続きによって提供される仕組みです。

 特に独居老人や、老人及び障害者のみの世帯、親族の介護機能が不十分な場合などでは、この制度のサービスを的確に利用することが生活支援の基本となります。地域に設けられている「介護支援センター」が利用者の支援の窓口となり、ケア・マネージャーが利用者本人に直接関わって、必要なサービスを必要な介護の度合いによって組み立てます。この際に、調査項目をコンピューター処理した調査票や診断書、意見書による審査会資料を基に「要介護認定」の審査が実施されますが、精神疾患や精神症状については、本人の生活における困難を示す情報が乏しいと、「認定」に充分反映しないこともありますので、本人の口頭での対応のみにとどまらず、介護を要する実状が必要書類の「特記事項」として提供され、審査で活かされることが重要です。

 要介護度が判定されると、「要支援」から「要介護5」までのそれぞれの介護度に応じてサービスの利用が可能になります。どういうサービスを使うかは、利用者本人、介護者、そ他の関与者やケア・マネージャーなどの話し合いで選択されます。


 利用者本人に知的衰退が生じていたり、容易に気持の揺れ動くお年寄りでは、希望や意志が確認しにくく、継続的に維持されないということがしばしば起こります。周囲の客観的判断で支援を進める場合は、本人の受け入れや適応がよければ、その選択は適切であったと考えてよいでしょう。また本人が警戒的、猜疑的な場合は、新しい環境や対人関係になかなか馴染まないこともよくありますが、しばらくの間、顔なじみのひとがサポートするなどで時間をかけて適応をはかることも大切です。また、その日の自他の条件次第で本人の受け入れに良し悪しがみれらることも時には起こりますが、臨機応変に対応しましょう。記憶や体験が継続、蓄積せず、一日一日が新しい体験、と感じているお年寄りも多いものです。

 意欲の低下や気分の沈んでいるお年寄りでは、サービス利用に消極的、回避的、時には拒否的なこともありますが、体験利用を試みることも有効です。あまり段取りや了解に固執することなく、機会をみて、実際に直接参加することで、その状況への反応も確かめられ、一歩踏み出せることもよくあります。

4.高齢者支援の相談窓口

1.はじめに
2.高齢者との関わりと生活面での配慮
3.福祉サービスの活用
4.高齢者支援の相談窓口
5.医療機関への受診
6.リハビリテーション
7.おわりに

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