| 元 都立中部総合性新保険福祉センター |
長尾佳子 |
| 高齢者精神医療相談担当 精神科医師 |
5.医療機関への受診
周囲のひとびとがお年寄りの生活環境に目を注ぎ、専門相談で、種々の助言や示唆を得て対応や援助に心を砕いても、なお解決しない問題が残る場合が少なくありません。心身への医療的対応が必要な場合も多いからです。複数の親族の間で、お年寄りの心身の状態について、共通の理解を持って協力しあうことも大切ですから、専門の医療関係者から医学的に説明を受け、この情報を共有することも重要です。
老人医療、とりわけ精神科的医療は特殊な専門領域と考えられます。心身の医療的対応のみならず、老人をひとりの人間として、過去、現在、残された時間を視野に入れ、対象のひとりひとりが、いかによりよく生きるかを、考えることが問われるからです。単に医学的所見の提示や、適切な治療にとどまらず、「暮らし」にも充分な配慮がなされることが専門医の条件でもあるでしょう。
一般の診療科と違って、精神科への受診は通常、家族にも本人にも何かととまどいもあることが普通で、たやすいものではありません。中には、受診をすすめることで、関係が悪化する、ということさえあり得ます。こういう場合は、精神科へ直接受診することにこだわらず、身体的不調の検査や診察、あるいは入院の機会に精神科医のアドバイスを受けるという方法もあります。そのためには、総合病院、あるいは、それに準ずる病院で、老人専門の精神科医も診療に携わっている医療機関が好適ということになります。診療科相互の連携が円滑に行われていることはいうまでもありません。この他、内科等身体的併診もする老年精神科専門医の市中のクリニックもあります。ともあれ、本人の心理的負担や抵抗をなるべく排除できる手段を考えましょう。筆者の関与する施設での経験では、ショート・スティの滞在期間中に、本人の面接、診察、治療、家族や関係機関の職員への指導などが円滑に運んだケースが少なからずあります。本人の状態が把握できれば、検査や入院治療が必要と思われるケースについては、専門医療機関へ紹介することも出来ます。
6.リハビリテーション
1.はじめに
2.高齢者との関わりと生活面での配慮
3.福祉サービスの活用
4.高齢者支援の相談窓口
5.医療機関への受診
6.リハビリテーション
7.おわりに