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No.4 見えざる自殺問題:自死遺族のサポート

奈良女子大学生活環境学部教授 清水 新二


自殺者3万人時代

 平成10年は自殺問題にとって、大きな節目となる年でした。わが国で自殺統計が取られ始めてから、この年に初めて自殺者が3万人を越え、過去最悪の事態になったからです。マスメディアもこのことを大きく報道しましたので、記憶されている方も多いのではないでしょうか。厚生労働省も手をこまねいているわけではなく、21世紀を見通した国民健康施策指針である「健康日本21」では10年後には自殺者を22,000人以下(平成10年基準値の31,755人から3割減)に減らそうと鋭意努力しています。ただ残念ながらその後も3万人の大台が続き、平成15年度には3万5千人に迫るかという勢いでした。こうした事態を受けて、今や「自殺数3万人時代」ともいわれているほどです。

 さらに最近では「ネット自殺」等と呼ばれる、インターネットで出合った見ず知らずの者同士が目張りをした軽自動車内に七輪を持ち込み、練炭を炊きながら睡眠薬を飲んで自らの命を絶つ、といった衝撃的かつ不可解な新手の自殺手段も現れています。自殺問題に関して言えば、「病膏盲にいる」の感があります。

 そこで、これまでの自殺問題で少々見逃されてきた自死遺族とそのサポート問題を中心に、最近の動きも含めて話をしてみたいと思います。末尾に述べる理由から、以下では「自殺」の代わりにでるだけ「自死」という用語を使います。

中高年男子の自死問題とサバイバー

自殺者3万人時代
中高年男子の自死問題とサバイバー
4人に1人が親しい人の自死を体験
「生き残り」の意味
自死遺族へのサポート〜ポストヴェンション〜
「自死」という言葉
「自死を受けいれる」ということ

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