![]() |
|||||||
日本大学亀山晶子 坂本真士 はじめに近年、企業における社員のメンタルヘルス問題はますます深刻化しています。厚生労働省による2007年の労働者健康状況調査によると、自分の仕事や職業生活に関して強い不安、悩み、ストレスが「ある」と半数以上(58.0%)の労働者が回答していることが報告されています。また、社会経済生産性本部(現日本生産性本部)による2008年の産業人メンタルヘルス白書では、最近3年で半数以上(56.1%)の企業において社員の心の病が増加傾向にあることも示されています。同白書によると、近年心の病が増加傾向にある企業に共通の特徴は、「人を育てる余裕が職場になくなってきている」、「組織・職場とのつながりを感じにくくなってきている」、「仕事の全体像や意味を考える余裕がなくなってきている」の回答が有意に多く、職場環境や組織風土にゆとりがないことがあげられています。このことから、近年の社員のメンタルヘルス問題には、職場の環境や組織風土におけるゆとりのなさが関連していると考えられます。 現在、サブプライム問題を発端として深刻な金融危機が続き、社会は不況の真っただ中にあります。そしてこの不況により、ますます職場のゆとりがなくなってきたと言えるでしょう。多くの企業では、仕事量が減少し、社員は新しい仕事への提案や着手など、これまでの仕事のやり方からの変化を余儀なくされています。また、人件費、交際費、会議費などの経費削減が行われ、より一層、社員の行動への管理が厳しくなりました。このように、不況によって社員は今まで以上に厳しい管理下におかれ、職場はますますゆとりのない窮屈な環境となっています。このゆとりのなさは、社員の経済面だけでなく心理面にも様々な悪影響を及ぼすと考えられます。そこで今回、現在の職場環境におけるゆとりのなさがもたらす様々なメンタルヘルスの問題についてとりあげていきたいと思います。 はじめに |
|||||||
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |