日本大学亀山晶子 坂本真士
株式会社博報堂 佐久浩子
イラスト 浜田真里
信頼の低下による認知的なサポートの減少
現在、社員の会社や職場への信頼が低下していることをふまえると、職場でのソーシャル・サポートが減少する可能性があります。ソーシャル・サポートには、認知的なサポート(perceived support)と行動的なサポート(provided support)という2つの側面があり2)、認知的なサポートには、他者への信頼感が関わっていることが示唆されているからです3)。
認知的なサポートとは、「周囲の人々は自分にこのくらいサポートをしてくれるだろう」というサポートへの予測・期待をさします。周囲の人は困っている自分を助けてくれるという信頼があればこそ、「自分はサポートを得られる」という予測が高まるのです。したがって、現在の社員における会社や職場の人への信頼の低下は、この認知的なサポートの減少につながると考えられます。会社や職場の人が信頼できないため、職場の人は自分をサポートしてくれないだろうと感じてしまうのです。このように、認知的なサポートが減少することで、仕事のストレス要因が緩衝されず、心の病に陥ってしまうことが考えられるでしょう。
不況による社員同士のつながりの減少
はじめに
職場の人間関係の変化とメンタルヘルス
ソーシャル・サポート
信頼の低下による認知的なサポートの減少
不況による社員同士のつながりの減少
社外での自由時間の充実とメンタルヘルス
自由時間の使い方(ストレス対処行動の観点から)
会話・交際
終わりに